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オフィスにおける空間デザインの必要性とは?

2022.12.28 #ウェルビーイング #コミュニケーション #デザイン、什器家具 #働き方 #移転改装

リモートワークが普及し、自由な働き方が進む一方で、社内のコミュニケーションの取りづらさが浮き彫りになってきています。コロナ禍の今だからこそ、社員たちの居場所としてオフィスの空間をデザインしましょう。

この記事ではオフィスの空間デザインのメリット、ポイントについてご紹介します。

オフィス空間を背景にした「オフィスにおける空間デザインの必要性とは?」のタイトル画像
男性二人と女性二人が会議テーブルの上で和やかに会議を行っている光景を写した写真

オフィスの空間デザインは生産性アップにつながる

オフィスの空間デザインとは、内装や家具、配置などをコーディネートすることです。コロナ禍でリモートワークが普及した昨今では、働く場所に縛られない生き方が広まってきました。実際に東京都が2021年10月に行った「テレワーク実施率調査結果」によれば、都内企業のテレワーク実施率は5割を超えていることがわかります。[注1]

一方で、リモートワークでの社内のコミュニケーションの取りづらさに不安を覚えている人やオフィスの必要性を実感している人もいるようです。株式会社日本商業不動産保証の調べによれば、コロナ禍でオフィスの重要性を実感したと答えている人が半数以上に上り、全体の39.7%が「社員間のコミュニケーションが取りにくい」と答えています。[注2]

そして全体の8割近くが「社員が出社できるオフィスは残した方がよいと答えているのです。これだけリモートワークが普及した今だからこそ、コミュニケーションが取りやすいオフィスが必要とされているということです。

 

[注1]東京都|テレワーク実施率調査結果をお知らせします!10月の調査結果(入手日:2021年12月8日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/11/11/12.html
[注2]PR TIMES |<都内企業の経営者・役員300人に聞いた「コロナ禍におけるオフィスの在り方」に関する調査>コミュニケーションの場としてオフィスを再定義する“ハイブリッド型オフィス”が主流に(入手日:2021年12月8日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000016254.html?_fsi=0AfhFuC4&_fsi=PVzymTV8

ブラウンのカラーで統一された落ち着きが有る応接室の写真

オフィスにおける空間デザインで得られるメリット3つ

テレワークが広がっている今、オフィスの空間デザインを行うことのメリットに目を向けてみましょう。
オフィスの空間デザインで得られるメリットは大きく分けて3つです。

1. 社員同士のコミュニケーションが円滑に進む

1つ目のメリットは、社員たちがより繋がれるオフィスづくりができるということです。冒頭でご紹介したとおり、リモートワークの普及で最も懸念されているのは、社内のコミュニケーションについてです。

チャットやビデオ会議で連絡を取れたとしても、直接顔を見てやりとりするのとでは、物事の伝わり方や雰囲気に違いが出ます。一方で、オフィスは人々が集まって作業する場所です。文章のニュアンスで誤解を与えてしまうのではと不安に思うこともなければ、その場の雰囲気に合わせたコミュニケーションも取れます。さらにエッセンスとして空間デザインを考えれば、社員同士のコミュニケーションがより活発になるでしょう。

たとえば社員たちが業務の合間に息抜きできる「リフレッシュスペース」を設置します。オフィスのメインの通りに設置すれば、部署を超えた社員同士のコミュニケーションの場を作れます。ほかにもフリードリンクを設置したり、本や漫画を置いたりすれば、心も体も休まる場所になるでしょう。社員同士のコミュニケーションが盛んになれば、社内の雰囲気が明るくなり、結果として、離職率の低下にもアプローチできるのです。

2. 企業のブランディングになる

2つ目のメリットは、オフィスの空間デザインが企業のブランディングになることです。空間デザインでは、照明、香り、床材などさまざまな観点から空間を彩ります。企業理念などのコンセプトをもとにオフィスをデザインすれば、訪れた人が企業の雰囲気を体感できる場所となるのです。

たとえばアウトドア用品を取り扱う企業では、オフィスをキャンプ場に見立て、アウトドアを疑似体験できる場所にします。ショールームのようにデザインすれば、自社商品を体験できる場所になるとともに、企業として優秀な人材を確保することにもつながるでしょう。

また、あるIT企業のオフィスには、恐竜の骨格標本や、ビリヤード、図書館、トレーニングルームがあるとしてSNSで話題を呼びました。オフィスに福利厚生が組み込まれていると、社員の士気が高まり、生産性もアップが期待できます。

3. 優秀な人材を確保できる

3つ目のメリットは、オフィスの空間をデザインすることが、優秀な人材を確保することにつながることです。エン・ジャパン 株式会社が2018年に行った「退職のきっかけ」調査では、上位に「やりがい・達成感を感じない」「人間関係が悪かった」がランクインしています。[注3]

社員がやりがいや達成感を感じられない理由としては、自分の仕事がどのように活躍しているのかわからなかったことが挙がっていました。これは社員間のコミュニケーション不足から起こりうることです。

同じく上位にランクインしている「人間関係が悪かった」ことも踏まえると、社内で良好なコミュニケーションが取れていれば、退職を防げるとも考えられるでしょう。社内の人間関係を良くするには、社員がストレスをためないようリフレッシュスペースを設置したり、パーソナルスペースを確保したりとオフィスの空間をデザインすることが大切です。社員同士が気持ちよくコミュニケーションをとれる空間が作れれば、優秀な人材が流れてしまうのを防ぐことも可能です。

 

[注3]エン・ジャパン 株式会社|8,600名に聞いた「退職のきっかけ」調査。転職理由は「給与」「やりがいのなさ」「企業の将来性」。―『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表― (入手日:2021年)
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13174.html

ノートパソコンを使いながら指を一本立てて、ポイントについて解説しようとしている女性の写真

オフィスの空間デザインで大切な6つのポイント

オフィスの空間デザインで大切なことは6つです。実際に空間をデザインするときは、以下のポイントを押さえ作り込んでいけば、社員に喜んでもらえるオフィスを作れるでしょう。

1. デザインのコンセプトを決める

オフィスの空間デザインを考えるときは、コンセプトが大切です。どのようにデザインしたいのかが決まっていないと、ブレのある仕上がりになってしまいますので、まずはオフィスを通して伝えたいことを明確にします。企業理念をコンセプトに掲げるのであれば、企業のイメージカラーやデザインなどがあるとよいでしょう。
ほかにも和風や洋風、カフェやホテルのようなデザインにしたいといった漠然としたイメージでも構いません。仕上がりを想像しながら計画を立てていけば、オフィスそのものが企業のアイデンティティになります。社内でコンセプトを立てたり空間をデザインしたりすることが難しい場合には、プロの手を借りるのも一つの手です。

2. 動線を考える

オフィスの空間をデザインするときは、社員たちが使う通路(動線)を考えながら設計します。おしゃれさを優先してしまうと、新しいスペースが誰にも使われずに終わることにもなりかねません。社員たちが目的とする場所へ直感的に向かえるよう、シンプルな動線を考えることが大切です。

動線を考えるうえでのポイントは2点です。まずメインとなる通路を決めることと、シンプルさです。メインとなる通路は、たとえば会社の入口からエレベーターや階段までの道のりのことなどです。メインの通りは行き止まったり、迷ったりすることがないようにシンプルな作りにしておきます。

オフィスの動線を考えるということは、社員の働きをサポートすることに直結します。できるだけ不要な動線は省き、社員がストレスなく行き来できる動線を考えましょう。

3. リフレッシュスペースを作る

リフレッシュスペースを設けることも、オフィスの空間デザインにおいて大切なことです。リフレッシュスペースとは、いままでの休憩所とは違い、社員たちが心と体を休めるために使う場所です。精神科医の話によれば、人間の集中力は15分、45分、90分が目安だといいます。[注4]
そのため、およそ8時間勤務する社員たちが、モチベーションを保ちつつ、高い集中力を発揮するためには、こまめに休息をとれるリフレッシュスペースが必要だということがわかります。

リフレッシュスペースを作る際は、社員たちにどのように使ってほしいのかを想像して作りましょう。たとえば軽い運動ができるスペースにするなら、卓球台や運動マシンを置くのも一つの手です。身体がリフレッシュするとともに、コミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。ほかにもカフェのようなデザインにして軽食が楽しめるようにしたり、ミーティングができるようインターネット環境を整えたりするのも一つの手です。

充実したリフレッシュスペースは、社員の生産性がアップするだけでなく、企業のブランディングにもつながります。いい案が思い浮かばない場合は、社員にアンケートをとるのも一つの方法です。

 

[注4]タウンワークマガジン|集中力の限界は90分?集中できないときに試したい効果的な休息方法と勉強法(入手日:2021年12月9日)https://townwork.net/magazine/skill/103396/

4. パーソナルスペースを確保する

社員のパーソナルスペースを確保することは、ストレス軽減につながります。パーソナルスペースとは、対人関係において個人が安心できる空間のことです。この空間に他人が入ってくる、入っている状態では、人は少なからずストレスを抱きます。パーソナルスペースの種類は、以下の4つです。

  • 密接距離:45cm 家族や恋人などの親しい間柄に許容される
  • 固体距離:45cm以上120cm未満 友人などに許容される
  • 社会距離:120cm以上350cm未満 同僚や上司など社会的に関わる間柄に許容される
  • 公衆距離:350cm以上 他人同士の距離

 

オフィスにおける空間デザインでは、3つ目の「社会距離」を使います。また一般的に男性のパーソナルスペースは縦に長い丸の形、女性のパーソナルスペースは丸に近い形をしているといわれています。

このことを意識しながらデスクを配置すれば、社員のストレスを軽減するだけでなく、コミュニケーションを円滑にする効果も期待できるでしょう。

デスクの配置レイアウトには種類がある

デスクの配置レイアウトには、いくつか型があります。
従来のオフィスでは「島型レイアウト(別名アイランド型)」が使われていました。島型レイアウトは、複数のデスクとチェアを合わせ、オフィス内に島のように配置するものです。
複数人が集まって作業をしたり、討論をしたりする場合に役立ちます。

「フリーアドレス型レイアウト」は、社員が決まった席を持たないレイアウトです。その日の気分に合わせて席を選べたり、社員同士のコミュニケーションが盛んになることが魅力です。

ほかにもパーテーションで区切りをつけて集中力を高める「ブース型レイアウト」、個人での作業に特化した「クラスター型レイアウト」などがあります。

フロアの特徴にあったレイアウトを取り入れることが大切です。

5. 関連のある部署は近くに配置する

頻繁にやりとりをする部署同士は近くに配置し、作業効率をアップさせましょう。ある企業が発表した「部門別隣接マトリックスの例」では、それぞれの部署同士を「A. 非常に密接」「B. 近くがよい」「C. 関連なし」「D. 遠ざける」の4つに分類し、どれほど関連しているかを明らかにしました。たとえば経理部と総務部は「A. 非常に密接」に当たります。反対に受付とシステム部は「D. 遠ざける」に分類されています。

関連性が薄い部署は遠い場所に配置し、業務で関わることが多い部署同士は近くに配置することで、移動に手間取ることなく、作業効率がアップできるのです。

6. 香りにもこだわる

香りには集中力や生産性を上げる効果が期待できます。2017年に株式会社やる気スイッチグループホールディングスは、スクールに通う中学生33名を対象に香りと集中力に関する実験を行いました。[注5]

結果は無臭の精製水や、香りを嗅がなかったグループに比べて、オレンジの香りを嗅いだ生徒の方が回答数が向上していました。以上のことから、香りには集中力をアップさせる効果があることがわかります。

また、弊社では2021年6月に「香りは働く環境の改善に繋がるのか」をテーマに、エントランスと執務室にアロマを設置しました。アロマ設置から2週間後に社員からアンケートをとった結果、オフィスに香りを導入することがとてもよいと感じた社員は30%、よいと感じた社員は55%とポジティブな意見が8割を超えました。

さらに香りの導入で健康や作業効率化を感じたかという質問に対しては、「そう思う」と答えた社員が全体の5割を占めています。インテリアや内装といったデザインはもちろんですが、香りという側面から社員のやる気にアプローチするというのもポイントのひとつです。

グラフが描かれた紙の資料の上にスーツを着た男性のフィギュアが5つ並べられている光景を写した写真

オフィスの空間デザインは生産性アップにつながる

オフィスにおける空間デザインは、社員の生産性アップに期待できます。リモートワークが活発になった今、コミュニケーションの取りにくさに頭を抱える人も少なくありません。アフターコロナを見据えて、社員たちが心地よくコミュニケーションが取れるオフィスにデザインすることが大切です。

オフィスの空間デザインで得られるメリットは、社員同士のコミュニケーションが円滑に進むこと、企業のブランディングになること、優秀な人材を確保できることの3つです。社員のストレスを減らすためには、リフレッシュスペースを作ったり、パーソナルスペースを確保することが大切です。また動線を考えたデザインをすること、よくやりとりをする部署は近くに設置することで、より生産性がアップできるでしょう。

 

[注5] PR TIMES |「自分力開発研究所」から「やる気の科学研究所」に改称第一弾は “香り”の検証実験を実施オレンジの香りを嗅ぐと集中力アップの傾向(入手日:2021年12月9日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000028894.html

天野 旭
この記事を書いた人
オフィス・ラボ担当者
天野 旭

オフィス環境営業部販売推進3課所属。2021年入社。レイアウトから什器備品についてご相談いただけましたら全力で対応致しますので、お気軽にお声がけいただけますと幸いです。